ルイヴィトン・サックプラの内装交換 劣化する合皮をなぜ使う篇

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大事にするあまり劣化してしまうルイヴィトン・・・。

そもそも内装に合皮を使うルイヴィトンが悪いのですが、クローゼットやタンスにしまっておいていざ使おうとしたら内装がベタベタ・・これよくあるパターンです。

風通しの悪い場所や湿気が滞る様な場所では合皮の劣化の進行は早まってしまいます。なので大切にしまわずに合皮素材が使われている鞄や靴はどんどん使った方が宜しいかと思います、劣化してしまう前に。

この記事を書くにあたりルイヴィトンのHPで確認してみると、現在発売されているサックプラの内装の素材はテキスタイル(生地)になっていました、消費者にしたら「今更かぁーい」という感じでしょうか。それと今回内装交換と合わせてご依頼のストラップも現行モデルでは標準で取り付けられていました・・「今更かぁーい」。

劣化する内装

一見なんともない様に見えますが内装の分解作業を始めると合皮が撓んで塗膜が剥離しどんどん浮いてきます。すでに内装にある金具や革タグには劣化した塗膜がべったりと・・。

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劣化するのを知っていながら高額な商品に合皮を使用するというのは悪意しか感じられませんが、なんでなんでしょうかね。

低価格商品ならコスト面から分からないでもありませんが、高額商品ならこんなところのコストをケチっても仕方がないと思いますし、逆にブランドとしての信頼が落ちることになりやしませんか?と。ルイヴィトンに限らずエルメスの30万くらいする鞄でも内装に合皮が使われていましたので、ハイブランド特有の何か理由でもあるのでしょうか?

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サックプラの内装交換方法

一般的な鞄では外装の本体に内装の袋を入れ込んで入口の部分で縫製して組み立てられています。その様な構造の鞄の内装交換は入口の縫製を分解すれば内装がそっくりと外すことができるので、新しい内装を製作し本体にセットし入口を再縫製すればいいのですが、今回のサックプラは外縫いといって本体の外側で内装と外装まとめて縫製し組み立てられています。

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なので内装を取り外して交換するとなると一旦完全にバラバラに分解する必要があります。分解して元通り縫製し組み立てられればいいのですが、内装をペラペラな薄くて柔らかい合皮からしっかりした生地に交換するので、素材が何重にも重なる部分の縫製箇所は厚みがかなり違ってきます。

元の設定では組み立てる事ができない可能性が高くなり、また縫い目に関しても厚みが変わるので針が入る位置と出る位置でずれてしまうので裏面の縫い目が乱れてしまう確率が高いかと思います。

それとこれも重要ですが仮に元通り組み立てられたとしても費用が倍以上違ってきてしまいます。一旦全てのパーツを分解して再度組み立て直すとなると、補修に費やす時間がかなり掛かるのでその分費用が高くなってしまいます。

なのでサクップラはしばしば内装交換でやってきますが、古い内装を取り外さず現状の状態に新しい内装を入れて覆う方法を採用しています。この方法だと見栄えは同じで費用も抑えられますので。

内装作り

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ときどきサックプラは内装交換でやってくるので型紙を取っておけばいいのですが、いつもどこかにいってしまいその都度型紙を作っている気がします。今回は分かるところに保管しようと思いますがこの記事を書いている時点でどこだっけ?と。

オリジナルについていたパーツやブランドタグは付着していた塗料を落として綺麗にし元の位置にセットし移植します。なお内装交換の際は自分仕様にカスタマイズもできます。例えばスマホが入るポケットが欲しい、鍵がいつも鞄の中で行方不明になるので引っ掛けるところが欲しいなど追加で仕様変更できます。

今回はスマホとか色々入る大きめの20×22cmのポケットを追加。オリジナルだと何もついていないので全て鞄の底に溜まってしまう状態だったのでしょうか。

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内装の生地は倉敷製の帆布を使用しています。帆布でも産地によって違いがありますが倉敷帆布は目がびしっと詰まっていてカジュアル過ぎず丈夫で適度な張りもあって良い素材です。ポケットの縁にはルイヴィトンぽくなる様に栃木レザー社のヌメ革で補強を行い、負荷のかかる角には鋲で装飾兼補強を。

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ベージュ色ですがヌメ革なので経年によりオリジナルの革同様にエイジングして色が濃くなり馴染んでいきます。下の画像の縫い針が刺さっている革は日に当たって1年ぐらい経過、敷かれている革は元の状態の革です。こんな感じで徐々に日に焼けてブランドタグなどと同じアメ色になってくれると思います。

革は日に当たると徐々に色が濃くなっていってしまうので、在庫の革は巻紙で覆って暗所に保管していますがそれでも徐々に色が濃くなっている様に思います。

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最後にブランドタグを移植したら内装が完成です。

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次にこの内装を本体にセットし元の縫い穴に縫製していきます。元の縫い糸は解いて抜いてあるのでその穴にひと針ひと針と針を落として縫製します。

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内装交換完成

ブランドタグとリングパーツもオリジナルの位置を計測して同じ場所に配置しています。

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反対面にはご希望の大きめのポケットを配置。これで鍵やスマホが行方不明になることはないかと思います。

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合皮素材というのは使っても使わなかくても2.3年で劣化が始まると言われています。(例えば店頭に1年、在庫で1年経過していれば購入した時点で消費期限切れというわけです)ですので基本的に合皮素材でできている、部分的に合皮が使われている製品(交換できないパーツに)については使い捨てと考えて購入された方が宜しいかと思います。

今回のルイヴィトンのサックプラの様に、内装のみが合皮の場合はその部分を交換してしまえば他の箇所にはその後に影響がないので補修する費用対効果はあると思います。

では鞄の部分部分のパーツに合皮素材が使われている場合、例えば合皮の持ち手が劣化したからといってそれを革で交換しても他のパーツに合皮素材が使われていれば、後々その箇所も劣化して補修が必要になってしまいエンドレスリペア地獄になることもあるので、そのような製品の場合には補修はオススメしておりません。

合皮かどうか不明な場合は製品タグに「外装・合皮」とか「内装・合皮」や「一部合皮」などの記載があるので確認してみると宜しいかと思います。

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