ルイヴィトンは革を信じ過ぎている。ストラップの付け根の修理

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根革の裂け

革製品では一般的には金具を連結するところだったり負荷がかかる部分というのは革だけでなく、伸び留めとしてナイロンが一緒に巻き込まれています。革は繊維素材なので使用により徐々に伸びていきがちなので。

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根革が裂けている

ナイロンを一緒に巻き込むことで伸び難くするのですが、老舗のルイヴィトンではなぜだか革のみでなんとかしがちです。形状によってはナイロンが使われている事もあった気がしますが今回も革のみ。しかもこんな小さなパーツなのに。

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「Dカン」と「根革」

鞄の大きさに対してパーツが小さいならそれだけ補強する必要があるとは思うのですが、ルイヴィトンはヌメ革を信じているんでしょうね。ただ日頃壊れた鞄を見ていると、ナイロンが併用されていても付根というのは負荷がかかる部位なので補強しておいて無駄になることはありません。

ヌメ革の色

ヌメ革
  1. 新品・白っぽいベージュ
  2. 初期・ベージュ系
  3. 中期・イエロー系
  4. 後期・オレンジ系
  5. 晩年期・ブラウン系

ルイヴィトンのヌメ革は経年状態により5段階の色合いに分けられます。ヌメ革は徐々に色が焼けて(濃くなって)いきますが、その色の段階に合わせて修理で使うヌメ革の色も変える必要があります。今回は❸の色を使いました。

なんで内装に合皮を使うのだろう・・・。

今回のモデルは内装に合皮が使われていました。粉が吹いたりテロテロと皮膜が剥離してきている深刻な状態ではまだありませんが、触った感じしっとりベタつく感じですし、所々で皮膜が浮いてきています。

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この状態だと根革をセットしてミシンで縫製すると、ミシンの縫製では縫い進める際に上下の抑えでぐいっとずらされるので、内装が劣化していると皮膜がズリッとめくれてしまう可能性があります。なので今回は手縫いで縫製となっています。

素材と気候の相性

例えば10万円する商品を購入する際に、店員さんに「2年から3年で駄目になります」と言われていたら購入するでしょうか?合皮というのは使っても使わなくても製造から2.3年で劣化し始めます。劣化し始める時期の差異は使用環境や保管場所にかなり左右されますが。

ルイヴィトンやグッチやエルメスなどの高級ブランドでも、内装に合皮が使われているモデルがあります。それだけの高額商品なら内装には劣化し難い素材を使って欲しいものですが。

ただ温暖湿潤気候の日本と違い、製造国の西岸海洋性気候のヨーロッパでは湿気が少なくあまり劣化し難い?のか、そういった素材を平気で使っているのかも知れませんが。

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補修後

あとあと後悔したくないのであれば購入の際には製品タグで内外装に使われている素材を確認するか、スタッフに聞いてみると良いかと思います。20万円した某ブランドの鞄が実は合皮で、路面店スタッフも本国に問合せてみるまで知らなかった、という話を伺ったこともあるので、最終的には自分の目を肥やすしかないのかも知れませんが。

ちなみにEU圏内で製造された靴の場合は、どこにどんな素材使われているのか必ず明記しなくてはならないようですが、鞄についてはどうなっているのか・・・。

補修の際にはナイロンを一緒に巻き込んで根革を作成し取り付けてあるので、オリジナルより強度も向上しています。あとは内装がどのくらい保つかですが、あまり使わずに仕舞っておく方が湿気で劣化が進行するのでどんどん使い、ひどく劣化した際には内装交換は可能なのでその際には劣化が起こり難い生地素材で交換を行えば宜しいかと思います。

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