持ち手の握り方は人それぞれ。 TUMIの持ち手修理篇

TUMIの持ち手修理
目次

依頼品・Aの場合

最近はTUMIの持ち手交換は現行モデルの修理が多いですが(壊れやすいので)、旧モデルの持ち手の革巻き交換も定期的にご依頼があります。現行モデルは付け根からそっくり交換するしかありませんが、旧モデルはナイロンに革が巻いてあるので痛んだ革の巻き替えで対応することができます。

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依頼品・A

鞄の正面側を外側に向けた持った場合に持ち手の握り方というもはだいたい同じになるようで、ほとんどの場合は正面側の革が擦り切れていることが多いです。こんな感じで、左側が正面側の持ち手。

TUMIの持ち手修理
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正面側の持ち手

依頼品・Bの場合

全く同じモデルの別のTUMI。正面側の持ち手の革はあまり痛んでいません。

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依頼品・B

左が正面側の持ち手、右の背面側の持ち手が擦り切れています。

TUMIの持ち手修理
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握りと擦れ方

割合だと正面側の持ち手の擦り切れがほとんどですが(統計は取っていませんが)中には背面側の革が擦り切れている場合もあります。鞄の正面を内側にして持っているということはないので、恐らくですが持ち手の握りの違いなのだろうと思います。

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重ねて握る時に正面側、背面側の持ち手の上下関係により手に触れる範囲が違います。上になるのか下になるのかで掌側か指側になるのかの違いで擦れ方が違ってくるのかと思います。もしくは人によって脂肪が少ない骨ばった手の方もいれば、もちもちしたふくよかな手の方もいるので、その違いもあるかもしれませんが。

TUMIの持ち手修理

家電メーカーだと電子レンジの扉の開け閉めを1万回とか繰り返して耐久テストしていますが、TUMIの持ち手も人の皮膚を再現した手でぶらんぶらん1万回揺さぶって、どのように革が擦れるのか実験できたらいいのですが、耐久テスト系YouTuberの方がいればお願いしたいものです。

革交換

擦れ方は違っていても修理の仕方は同じです。古い革をはずし新しい革で巻き替えていきます。革はオリジナルより耐久性の高いタンニン鞣しのヌメ革を使用しています。オイルも適度に含有しているので通常の革より乾燥し難くなっています。

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擦れ方が正面背面で全然違いますね。擦り切れている革の片面はあまり痛んでいません。逆に擦り切れていない革の二つ折りの両面は乾燥気味の亀裂が入っています。

TUMI持ち手修理
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単純に同じ形の革をナイロンベルトに巻いて交換しているだけではなく、巻きつける革には芯材やクッション材を3種類併用し、耐久性や握り心地を向上させて交換しています。

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巻き革の交換完了

現行モデルの付け根から一体化された革の持ち手より、旧モデルのナイロンベルトに革を巻いているこの持ち手の方が耐久性が高く、痛んだ際にも革のみ交換できるので持ち手の仕様としては完成されているといます。

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現行モデルの持ち手は芯材にはスポンジを使用しているので鞄の重さに耐えきれず伸びてしまい、最終的には破断してしまいます。現行モデルの場合は旧モデルの耐久性の高い仕様での交換も可能です。

革はオリジナルより耐久性の高いヌメ革を使用していますが、それでも革製品は定期的に保湿を行わないと色褪せや乾燥によりひび割れが生じやすくなります。

特にコロナ禍の場合はアルコール消毒された湿った手で革製品を触ってしまうと油分が抜けてしまい、色も褪せてしまうのでご注意ください。

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保湿クリームですがミンクオイルは使わないでください。ミンクオイルは動物性油脂なので高温多湿の日本の気候ではカビ菌の餌になりがちです。また油分が強いので適量を誤ると革を痛めてしまいます。

オススメの保湿クリーム

こちらのサフィール社(フランス)のユニバーサルレザーローションは、ホホバオイル(植物油)とビーズワックス(ミツバチが巣を作る時に精製する蝋)からできているので、石油系の嫌なニオイもなく扱いやすい保湿クリームです。

革製品は痛んでからお手入れをしても現状維持がいいところです。使い始めから定期的に保湿を行うことで、5年後・10年後の状態に影響を及ぼします。

お手入れは1日にして成らず、というところでしょうか。

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