ひび割れ千切れたTUMIの持ち手交換 現行モデルは耐久性に乏しいの件。

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旧モデルより現行品の持ち手は傷みやすい

これまで販売されていたナイロンベルトの旧モデルの方が使用年数も長く、販売個数も多いので修理で依頼される件数はおのずと多くなるはずですが、2020年頃から現行モデルのTUMIの持ち手の方が修理依頼が急増しています。

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革を巻き替えた補修後の旧モデル(三角タイプ)
現行
補修前の現行モデル

その理由はタイトル通り、現行モデルの持ち手は耐久性に乏しいからであります。今まで旧モデルのTUMIを使われていた方が、新しく購入された現行モデルの鞄だと持ち手が頼りないということで、ほぼ新品の状態でしたが持ち手を交換をされた方もいらっしゃいました。ですので耐久性という点もありますが、重いTUMIの鞄には現行モデルの柔らかい持ち手ではそもそも不釣り合いなのだと思います。

TUMIの現行品の持ち手は柔らかくて頼りない

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ネイビーモデルも最近はよく見かけます

何がそんなに悪いのか?TUMIの現行モデルの問題点。

現行モデルの持ち手は全て革でできていますが、同じように革の持ち手の鞄というのはごくごく当たり前にあります。ではなぜTUMIの持ち手だけがそんなに耐久性が乏しいのか?

一般的な革の持ち手というのは、例えば平らなベルト状のタイプであれば裏表の革の間に補強の芯材が挟み込まれて接着され縫製されています。丸い持ち手であればロープや樹脂チューブなどの伸びない芯材に革を巻いて作られています。

では現行品のTUMIの持ち手の場合はどうでしょうか。芯材には柔らかいスポンジが使われ、そのスポンジを巻き寿司のように革で巻いています。

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TUMIの現行モデルの持ち手断面
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潰れるスポンジ芯

スポンジが芯材なので握った感触はふかふかして初めは心地いいのかもしれませんが、ご存知の通りTUMIの鞄は荷物が入っていなくても重いのに、書類やPCなどの荷物が入るととんでもない重さになります。重い鞄を柔らかい持ち手で持ち堪えるにはなかなか大変だと思います。

握っている部分は徐々にその重さで内部のスポンジは押しつぶされ、引き伸ばされ、巻いている革との間に隙間が生じます。隙間が生じると握った際に負荷がかかる方へ表面の革が捻られ回転していきます。下画像の右は革の縫い合わさり目が捻られて回転し上面に見えてきてしまっています。この縫い合わさり目はもともと側面かやや下側に位置していました。

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二本ある持ち手の痛み方は、持ち主の握り方で捻れ具合もそれぞれです。鞄正面側の持ち手が痛む方もいれば背面側の持ち手が痛んだり、右利きなのか左利きなのかなどでも違ってきます。

そしてついにねじれ限界点を突破してしまうと、革がねじ切られ中の芯材のスポンジが露出してきます。しばしばこの状態で持ち込まれることがありますが、この状態で重いTUMIの鞄をどのように持ち運んでいたのだろうか?(流石にストラップをメインで使って凌いでいたのだと思いますが)。ただ先日ご来店された方はこの状態でも握って使っていたとおしゃっていましたが・・。

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TUMI
TUMI

丸い持ち手のように芯材がロープなど伸び難い素材を使用していれば問題ないのですが、現行モデルの芯材は柔らかいスポンジなのでそれに耐久性を求めるのは酷です、スポンジの戦闘力は0なので。戦闘力0のスポンジを革で巻いてあるだけなので誰も引き止めることはできず、伸び放題というわけです。

これならば芯材も入れず革を単純に接着し貼り合わせて縫製してあった方がまだ耐久性はあります。

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畳めてしまう柔らかさ

消費期限が設定されている?現行モデルの持ち手。

新しくデザイン変更された現行品のこの持ち手の弱さを、世界的鞄メーカーのTUMIが想定していなかったのでしょうか・・・?

使われている方はお分かりだと思いますが、本体の素材にバリスティックナイロンを使ったTUMIの鞄は、一般的なナイロンの鞄に比べると非常に耐久性が高いです。

バリスティックナイロンは軍事用に開発された素材なので、一般的なナイロン素材に比べると5倍ほど引裂きや摩擦に強いと言われています。(リュックについては色々と問題がありますが・・それはまた別記事で)

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順番待ちのTUMI

なので10年、20年と使っていても擦れて痛みやすい底の四隅でさえ表面が毛羽立つ程度で済んでいる方が多いです。そして常に手で触れて一番痛みやすい持ち手についても、旧モデルの持ち手であればナイロンベルトに巻かれている革を交換すれば引き続きまだまだ使えてしまいます。

しかしそれだとメーカーとしては困るのです、壊れないと新しい鞄が売れないので。では販売戦略としてどうするでしょうか?一番簡単なのは適度に壊れやすくすることですが・・・。

*注:以下は店主の妄想です・・・。

鞄のデザインは人気のデザインだし変えたくない、耐久性の高いバリスティックナイロンを本体に使用しているというのはこの鞄の特徴だからそれも変えられない・・。

一番痛みやすいのは持ち手だけど今までの旧モデルは痛んだら革部分のみを巻き替えられてしまうと使い続けられてしまう・・。

ならば持ち手に耐久性の高いナイロンベルトを使わず、その分材料コストは掛かってしまうがすべて革の持ち手にすれば修理店で部分補修はできないだろうし、芯材として用いた柔らかいスポンジはしばらくしたら伸びて千切れるから、その時には新しい鞄を買い換えてくれるだろう・・・。

なんてことをTUMIの新製品開発会議で話し合われていたかどうか、信じるか信じないかはあなた次第・・・

ではありませんが、一つだけ確かなことは旧モデルから現行モデルへの持ち手の仕様変更は『改悪』ということでしょうか。ご依頼主の方にお話を伺ってみると個々で使用環境はもちろん異なりますが、概ね現行モデルは〜5年程度目安で持ち手が壊れてしまうようです(店主の独自調査)。

旧モデルの持ち手の耐久性が高い理由。

これが理由の全てにはなりますが、持ち手に伸び難いナイロンベルトを使用しているので現行品のように持ち手が伸びて千切れるということがないという点です。

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現行モデル(左)と旧モデル(右)のある日の風景

そして常に手に触れて痛みやすい部分には革を巻き、尚且つ握る部分を二つ折りにしているのでその部分は4重に折り重なっています。なので握る部分はその鞄の重さに耐えられるような硬さがあり、そして捻られ難く(それでも持ち込まれた修理品では捻られ気味の持ち手もありますが)なっています。

使用により痛むとすれば手に触れる巻いてある革部分だけなので、この部分を巻き変えれば使い続けられるという非常に合理的な仕様の鞄な訳です旧モデルは。それを現行モデルはわざわざ部分補修できないように、そして柔らかい革の持ち手に改悪してしまったという訳であります。

TUMIの誤算?

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まさかTUMIも現行モデルの革の持ち手を、旧モデルのナイロンベルトに仕様変更してしまう個人商店が現れるとは思わなかったのではないでしょうか。

当店の場合は年間で現行モデルから旧モデルへの仕様変更は100個前後ぐらいですからTUMIの買い替えさせる作戦?にはたいして影響を与えられてはいませんが、この先も果たしてTUMIは現行モデルの柔らかい持ち手で製造し続けるのでしょうか。

当店で一番初めに現行モデルの持ち手交換の依頼があった際は、現行モデルと同じ革の仕様で交換致しました。(そもそもその時点では旧モデルの仕様で現行モデルに交換できるとは思っていませんでしたし、それを提案できたとしても見栄えも変わってしまうのでご依頼主の方からOKは出ないだろうと)

その際はオリジナル同様にスポンジを芯材に用いて形状も再現して製作いたしますが、スポンジ芯だと弱いのはその時点でも認識していたので、なるべく伸び難く耐久性が高くなるように他の芯材も組み合わせました。しかしそれでも通常の持ち手に比べるとどうだろうか、という心配はありました。

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なのでその鞄の補修後は、現行モデルの持ち手の交換については一時期受付していませんでした。私自身納得がいっていないというか、耐久性に不安もありましたし他に方法がないものだろうかと。

ただご依頼は続くもので、その都度お断りすると「では捨てるしかないですね・・」「妻にプレゼントされた鞄なんですよね・・」などと言われてしまうと、交換ができないという訳ではないのでなんだか申し訳ない気持ちに。

旧モデルの革の巻き替え補修を行う際に、使われていた革の型採りをして同じような持ち手ができないだろうかと色々と試作し、では一応こういう方法(旧モデル仕様)ならばできないこともないのですがどうでしょうか?ということで現在に至っている訳であります。

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みなさん現行モデルの持ち手が弱いということを体験されていましたので、仮に現行モデルと同じ仕様で交換できたとしても意味がないので(また同じように壊れるので)、ならば旧モデルのように耐久性が高い仕様で交換できた方が逆にいいです、ということでこの仕様変更にご理解をいただいているようです。

これも現行モデルの本体が旧モデルのデザインとほとんど変わりがないので、持ち手を旧モデル仕様に交換しても見栄えとしてはTUMIの旧モデルになっただけ、というのが仕様変更が受け入れられた理由として大きいとは思いますが。

現行モデルの持ち手形状で耐久性を高めた仕様もあります

長さが色々、仕様も色々。

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持ち手の交換の際は、ご依頼された鞄のオリジナルの長さに合わせて交換しています。ただ持ち込まれる現行モデルは持ち手がべろんべろんに伸びたり千切れたりしているので、当初は基準を決めずらくTUMIのショップに定規を持って測りに行こうかと思った次第ではありました。

しかし時々ですが、TUMI愛好家の方がほぼ新品の状態で持ち込んでいただけるので、その持ち手の高さを参考にいくつか基準を設けることが出来ています。

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ただそれでもどう考えても伸びたにしては伸びすぎだし、縮むことはないだろうしで、どの基準値にも当てはまらない長さの持ち手があります。

当初は3型ぐらいでしたが最終的に持ち手の長さの基準は6型に落ち着いています。TUMIはモデル毎にちょっとずつ持ち手の長さを変えているのか、それとも発売時期で変わっているのか不明ですが、そんなに微妙に違う長さを作っては金型代とかのコストが嵩むだろうにと思ってしまいますが。(基本的にマチが広い、または広げられるモデルの持ち手は長い設定になっているようです)

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持ち手の長さもまちまちですが、現行品を分解してみると使用されている補強材の有無だったりその色だったりがバラバラです。小さな工房で作っているのならばそんな事もあるでしょうが、世界的なメーカーが製造しているのに仕様がまちまちってと。

ただ工場が世界中にある場合は同じ製品を作っていても、仕様書がいつの間にか現場で作りやすい様に書き換えられてしまう工場あるあるというのもあります。(工場が世界中にあるのかどうかは知りませんが)、靴のブランドでもしばしばあるので。

安心感のある持ち手

旧モデルのオリジナルの持ち手と見分けがつかないと思いますが、画像は現行モデルから旧モデルへ仕様変更した事例になります。ご覧のように現行モデルの本体は旧モデルと付け根の連結金具以外はほぼ(全く?)同じなので持ち手を旧モデルに変更しても見栄え的にはすでに存在するモデルなので違和感はないかと思います。

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今回の事例は持ち手の高さ(長さ)が一番高い設定のモデルです。革はTUMI専用に厚みを指定し取り寄せているタンニン鞣しのオイルレザーになります。オリジナルの革より質はいいかと思います。オイルが適度に含有されているので通常の革より乾燥し難く、ヌメ革なので使い込んでいくとエイジングし艶が増していきます

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付け根の連結金具

ナイロンに革を巻いただけのように見えますが、革とナイロンの間には三種類の補強材などを適所に配し、硬さや張り感や握った際の感触などよりベストなものになるように厚みや素材の見直しなど日々検討しています。

店頭での鞄のご返却の際によく頂く言葉が、「しっかりしましたね」です。握ると分かると思いますその違い、安心感が。TUMIの鞄にはやはりある程度硬さのある持ち手が必要だと思います。使い始めは握る部分に多少硬さがあると思いますが、荷物が入って荷重が加わると握っている手の形に撓って徐々に馴染んできます。

本体とナイロンベルトとの接合金具部分は一番負荷がかかる部位なので、ナイロンベルトを二重にし強度を高めています。

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握る部分の革の断面のエッジは組み立て段階で落としていますが、握った時により馴染みやすいように本体に取り付けた後に、硬い木の鏝でエッジを円弧に沿って適度に丸めて仕上げています。

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色々と綴ってきましたが、TUMIのブリーフ鞄は現行モデルの持ち手以外についてはナイロン製の鞄としては非常に耐久性が高く構造もよく考えられているのでオススメの鞄ではあります。

ただモデルによっては非常に鞄自体が重いので好みが分かれるところではありますが。この重さについても外観からでは分からない内部構造に色々と補強が施されていたり、何重にも素材が重なっている為なので仕方がないことではあるのですが。

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こだわりポイント

  1. TUMI専用の乾燥や擦れに強いヌメ革のオイルレザーを使用
  2. 握った感触も考慮し、革とナイロン以外に補強材を組み合わせる
  3. 負荷の掛かる本体との連結部分はナイロンを2重にして補強

修理不可モデルがあります。

鞄の正面背面ともにこの連結金具で持ち手が繋がっていない現行モデルについては、持ち手の交換を行うことができません。背面側の持ち手が直接本体に縫い付けられているモデルもあるので、ご依頼の際はご確認ください。

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お手入れはこれだけ。

革はオイルレザーを使用しているので通常の革より乾燥し難いですが、それでも革製品は痛んでも痛んでいなくても、日々定期的に保湿を行う事で乾燥による擦り切れや色褪せを防いでくれます。

よくあるのが乾燥し表面がひび割れてきてしまってから焦って何とかしようとお手入れを始める方です。革は一旦痛んでしまうとそれ以上の状態へ戻すのは困難でよくて現状維持ですので。「5がつく日は保湿する」など決めておくと、いつ保湿したか忘れないのでいいと思います。

ロンシャン

当店で使用している保湿クリームはサフィール社ユニバーサルレザーローションです。この保湿クリームは靴やお財布、ソファーや衣類などの皮革製品に使用できる優秀な保湿クリームです(起毛革など使用できない素材もありますので詳しくは製品に記載の説明欄をご使用前にお読みください)

TUMIの持ち手の革部分であれば片側米4粒くらい塗布し塗り広げ、反対側も同様に行うと初めに塗布した側のクリームが浸透し表面がしっとりしているので、ブラシや布切れで軽くブラッシングすると艶が出てきます。

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塗布する際に使用する布は着古した不要なTシャツを割いて使ったり(生地が柔らかくなっていて丁度いい)、柔らかい綿などであればなんでもいいと思います。ただブラシや革用のフカフカの磨き布などを使って塗布すると、そちらにクリームが奪われ無駄にクリームを消費してしまいます。

サフィール社ユニバーサルレザーローションは店頭でもAMAZON価格(1.760円税込)で販売していますし、小売されていないお試し品の50mlサイズのミニボトルも、770円(税込)で販売していますのでご入用の方は申しつけください。

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