クレープソールは部分補修できるけど・・・
クレープソールはつま先やかかとなど摩耗した場合には部分補修ができますが、殆どの方が踵部分のソールがミッドソールまで摩耗した段階でそれが合図のようにソール交換を希望されます。ベタつくしクレープソールはもう嫌だ、待ってました!という感じでしょうか。
もしくは屈曲部分が劣化により割れるか陥没するかのどちらが早いかという感じです。今回もミッドソール層まで摩耗した状態での持ち込みです。
ミッドソールは革に交換
当店ではクラークスのソール交換の際には、ミッドソールはオリジナルのへたったフェルト系の素材から丈夫な革中底(ミッドソール)に交換してソール交換を行っています。(ステッチダウン製法のモデルについては)
取り付けた革中底を底縫い用のミシンで縫製してしまうと、クラークスのステッチダウン製法のモデルの場合は元の縫い目からずれてしまう可能性が高いので、当店では元の縫い穴にひと穴ずつ穴を開け、手縫いにて底縫いを行っています。(マッケイ製法のワラビーは除きます)
ソールの積み上げ
ミッドソールを底縫いした後はソールを仕上げていきます。今回はクラークスのソール交換でよく選択されるvibram#2021や#4014のようなユニットソール(一体型)ではなくvibram#342ミニリップルソールのご選択。
ミニリップルソール自体は厚みが 6.5mmのソールなのでスポンジで土台を製作する必要があります。一層目にスポンジソールを全面に取り付け、その後ヒールになるスポンジを踏まずからかかと部分に取り付けて傾斜を切削し土台を製作します。
ユニットソールであればソールの取り付けは一回の作業ですが、今回のようなフラットソールを使用する場合は土台の積み上げを含めると片足で3回作業が必要になります。
ソール交換完成
デザートトレックでvibram#342仕様でのソール交換は初めてですが、現時点で画像検索しても出てこないので国内では恐らくこの一足だけかもしれません。
底面はvibram#342のラバーソールになるので、スポンジソールに比べると摩耗し難い素材になります。土台をスポンジで製作しているのでそれによりクッション性も補完されています。デメリットはユニットソールに比べると使う材料が多く、積層する作業も増えるので費用が少し割り増しになることぐらいでしょうか。
ギザギザが特徴的なソールですが恐らくこのギザギザも弾力感として独特な履き心地をもたらしてくれるのだと思います(このソールはまだ履いた事がないので予想ですが)
摩耗しやすいつま先と踵はギザギザではなくフラットな仕様になっているので、耐久性もよく考えられているソールです。
このソールのラバー素材は粘りがある配合なので摩耗し難いのではないかと思います。履いていないのに何故わかる?ですがグラインダーで削るとその削れ具合や手に伝わる感覚で分かったりします。
ラバーが硬ければそれだけ摩耗し難いかといえばそうではなく、硬さと粘りのバランスの良い配合の素材が摩耗し難いです。硬いだけだと削れやすくなってしまう場合もあり、ある程度の粘りというか弾力があると削れる瞬間に逃げる、というか圧を逃してしまうイメージでしょうか。
グラインダーで削っていると「逃げる」感じがよくわかります。そういう素材を高速回転するグラインダーに無理に押し付けて削ろうとすると、削れ難いので削れるより先に摩擦熱でソールが温まり、塗布されている接着剤が緩んでしまい剥がれの原因にもなるので、熱を持ちそうなタイミングをみて、もう片側の靴に持ち替えて交互に削ったりします。
ホワイトソールが眩しい、爽やか系デザートトレックという感じでしょうか。vibram#342ソールはブラックカラーもあるのでクール系デザートトレックでの制作も可能です。お持ちのクラークスを世界で一足?のカスタマイズにしてみてはいかがでしょうか。
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