スパニッシュチェアで使用した革の色の変化についての経過観察報告

修理品
目次

よく壊れる部分

裂けた箇所は定番の座面固定ベルトの前側一番目、ここはやはり立ったり座ったりする際に全荷重が加わるので一番痛み易い箇所のようです。

裂けた左側固定ベルト

で今回は左側ベルトの交換ですが、2年前にすでに反対側のベルトを直しています。

2年前に交換したベルト(手前)

ちなみに前側一番目のベルトとは座った際に膝裏あたりにあるベルトになります。

スパニッシュチェア

固定ベルトがあるのは座面の裏側なので、あまり陽の光に晒されないのでどのくらいのスピードでエイジングしていくのか定かではありませんでしたが、2年間でいい感じの飴色に成長しています。表面の風合いも艶が出てとてもヌメ革らしい感じに。

今回の記事の内容は革のエイジングについてなので、補修の詳細は関連記事をご参考にされてください。

補修の詳細はこちら

毎度の事ですが、美錠を固定している穴で裂けています。この部分は革を合せて2枚使用していますが、しっかりと接着されていないので革が伸びやすいのではないかと思います。それと革の繊維が若干荒い、詰まっていない素材が使用されているので、もともと強度自体も低い可能性もあります。

裂けた固定ベルト

修理でやってくる品はどれも革が乾燥してカサカサ、というかカリカリのものも。そして飲み物をこぼしてシミだらけの座面が多いです。革は使い始めから定期的に保湿を行うことで、繊維の柔軟性を維持し、保湿クリームに含まれる油分や蝋である程度の撥水効果も期待できますので必ず保湿は行なってください(ミンクオイルはNGです)

2年前との比較

上が現在(今回交換)・下が2年後の状態

当店でスパニッシュチェアの修理で使用する革は栃木レザー社製です。昔ながらの製法にこだわり、数ヶ月かけて鞣されたフルベジタブルタンニンレザーになります。本番イタリアでも限られたタンナーでしか今は行われていない製造方法です。

時間と手間をかけてじっくりと作られた革は、タンニンをしっかりと含有し繊維も緻密なので革の質的にはオリジナルより良いのではないかと思います。

皮と革

余談になりますが、20年ぐらい前に栃木レザー社へ工場見学に行ったことがありますが、記憶に残っているのは鞣される前の積み上げられた皮の山。

まだ革ではなく皮の状態、腐らないように塩漬けされて輸入された牛の原皮がアルカリ?で処理され、毛が溶かされている皮のあの生々しい感じ。一時期はなんだか焼き鳥の鶏皮が食べられませんでしたね・・・。

皮と革の違いについてAIによる回答

「皮」と「革」の違いは、なめし加工がされているかどうかで区別されます。

革は、皮をなめし加工したものです。なめしを行うことで、耐熱性や耐久性が向上し、 細菌に対する抵抗性が与えられます。英語ではleather(レザー)と呼ばれます。

皮は、動物の皮膚そのもので、まだ加工されていない状態のものを指します。英語ではskin(スキン)やhide(ハイド)と呼ばれます。そのままでは腐敗しやすく、耐久性も低いのが特徴です。

  • URLをコピーしました!
目次