レッドウィングが履き難いので編み上げブーツの丈を詰めてみる

補修前
目次

編み上げブーツは面倒臭い?

こちらは前回のドクターマーチンと一緒にご依頼頂いたレッドウィング。

こちらは丈を詰めてファスナーも取り付けたいということでしたが、丈詰め後の高さでファスナーを取り付けても、脱ぎ履きの善し悪しには対して違いはありませんよ、とアドバイスさせていただき丈詰めのみに。

これだけ靴紐で足首からふくらはぎまで固定できればかなり靴と足が一体化できますが、というかこの靴はソールもかなり重いので、しっかりと締め上げて履かないと、ただただ重い靴になってしまいます。

しかしやはり編み上げが・・・ということで履き難いので、ほぼ履かれていない新品の状態でのご依頼です。

補修前

この手のワークブーツはとりあえず3ヶ月間は我慢して履いてみてください。そうすれば革も靴底も小慣れてきて履きやすくなると思います。

ガッチリ作られているので履き初めからは快適ではないかもしれませんが、一旦自分の足に馴染んでしまえば、ガッチリ作られている = 足をしっかりホールドしてくれる、ということで安定した履き心地が得られると思います。

しかし、その3ヶ月を我慢できずリタイヤされる方は多いのですが・・・。

筒をカット

ループ
カットライン

カットする前にカットラインに係る背面のループや鳩目を避けておきます。

スピードフック

フック金具は菊割りという留め方でカシメられていますが、潰し方が中途半端だったので外すのが容易でした。本来は革に少しめり込むくらい平に潰しておく必要があるのですが、この辺りがアメリカンな作りです。

潰しきれていない金具
外したフック金具

ベロと一体化している裏革のパーツも縫製を解いて一旦避けておきます。

このラインでカットしていきます。

革包丁でサクッとカッティング。

革は厚めですが、オイルを含んでいるのである程度履き込めばすぐに自分の形に馴染みやすい革質です。

ワークブーツ全般というわけではないですが、比較的アメリカンな精度で作られているので、左右や内外でハトメの高さがずれていたり、靴自体の形状が歪んでいるので、辻褄を合わせてラインが対照になるように調節します。

ベロも筒の高さに合わせてカット。ベロは比較的柔らかめの繊維の粗い部分(脇腹あたり)が使われていることが多いです。短靴のベロと違って、くしゃっと折り畳まれる仕様なので収まりがいい様に柔らかい革を用いるのですが、カットする際には形状が安定しないので厄介です。

パイピング

オリジナル同様にカット面はパイピング処理を行います。

すでに靴になって重いソールが付いている状態で縫製していくので、ソールの向きによっては重力でもっていかれるので、手先で一定に回転させて縫製していきます。

パイピング取り付け

パイピングを内側に倒したら次は落としミシン。際を縫製しパイピングを固定します。

落としミシン

避けていた踵パーツ(ループ)は詰めた高さに合わせてカットし本体に縫製していきます。元の縫い穴にひと目ひと目、針を落としていきます。

丈詰め完成

7ホールに詰めました。5から7ホールぐらいのくるぶしが隠れる高さが履きやすさと足の固定にとってバランスが良いかと思います。

背面パーツの処理

一番上の穴はフック金具でしたが、一つだけフックというのも可笑しいですし、最後がフックだと紐が外れてしまう場合があるので鳩目に変更してあります。オリジナルの鳩目と同じサイズがなかったので気持ち大き目になっています。

ワークブーツ系は硬くて重いので馴染む前に断念する方が多いようです。重いラバーソールをスポンジ系の軽いものにソール換できないか、革が硬いのでなんとかならないか、などなどご相談いただきます。

ややもすると、そのどれもほとんど履かれていない靴であったりします。革を育てると言ったりしますが、靴も育てるという感じで短い距離から少しじつ慣らしてくのもいいかと思います。

ワークブーツ系はタンニン鞣しの革が使われている事が多いですが、その場合は経年により徐々にエイジングしていくので、育て甲斐もあるので諦めず履いてみてください。

  • URLをコピーしました!
目次