リュックにカスタム BRIEFING・3way篇

briefing-3way
目次

収納仕様

今回はBRIEFINGのブリーフケースの背面に収納タイプのリュックのストラップを新設します。

BRIEFING
BEFORE

背面はもともと大きめのポケット仕様になっていてこの部分を改造します。

BRIEFING
BEFORE

取り外しができるストラップを外付けで取り付けるのは大抵の鞄で可能だと思いますが、収納できる仕様で】となると、カスタムが可能な鞄は限られます。

すでにブリーフケースを購入された方が、改めて同じような3way仕様できるリュックを購入するのであれば、今あるブリーフケースをリュックで使えれないか?と思うのは当然の成り行きです。

briefing-3way
ストラップ部分試作

リュックのストラップはこれまで何度も作っているので、試作する必要はないのですが形状を少し変更するので確認の為に部分試作を。

briefing-3way
本番の縫製

まずはストラップが完成

ストラップ部分の仕様はTUMIのモデルや市販のリュックを参考に各部の長さを設定しています。今回はご希望で長さ調節ベルト部分は長めの50cmに設定してあります。

briefing-3way
長さ調節ベルト

長さ調節ベルトは既製品だとより長めの設定が多いのか、余らせてブラブラと垂れ下がりがちなので、各自丸めたり結んだりされているあの部分です。

ストラップ収納口の新設

briefing-3way
ストラップ収納口の位置決め

今回のというか、3way収納仕様にカスタムする際の一番の難所、ストラップ収納口の新設です。

ナイロン生地をカットするのでもう後戻りができません。その位置でストラップ付け根は縫製できるのか?切り込む位置、深さはそれでいいのか?という事を実物で検証ができないので、思考シュミレーションを繰り返し、あとはやってみるしかありません。

briefing-3way

切り込み位置を端から40mmにするのか35mmにするかで最後まで悩みましたが、35mmでザクザクっと。

その後の段取りは切り口の処理、ファスナーを取り付けて縫製、ストラップの付け根を縫製、付け根の補強ベルトの縫製などになります。

briefing-3way
裏地はついていません

各工程はシュミレーション通りに事が運びましたが、よくあるのがミシンで縫製する段階で、ここがぶつかって縫製できないとか、ここまで切れ込みが入っていないと端まで縫製できない、もうちょっと分解しないとダメなど。

すでに完成した製品をカスタムする場合には、いくら頭の中でシュミレーションしても必ずバグが出てくることがあるので、その都度で臨機応変に対応できるかが重要になります。

briefing-3way

ストラップ収納口の裁断処理はイメージ通り。

briefing-3way
カット面を折り返して処理

ファスナー取り付け段階で変更点が。当初の予定ではストラップ収納口はTUMI3wayモデルのようにクローズド仕様(端が開かない)で予定していましたが、端が開くオープン仕様に作業途中で急遽変更することにしました。

briefing-3way
ファスナーの縫製

TUMI 3way 仕様の場合

TUMIの場合は収納口がファスナーポケットになっていて、端が閉じているので収納する時はストラップを折り畳んでぐりぐり押し込まないと入りません。

tumi
TUMI
tumi
TUMI

BRIEFING・3WAY仕様の完成

この段階でシュミレーションからの変更点が。当初の予定ではファスナーし収納口はTUMI3wayモデルのようにクローズド仕様(端が開かない)で予定していましたが、オープン仕様に変更することにしました。
収納部はフルオープン

今回のBRIEFINGでは、もともとある背面のオープンポケットを改造しストラップを収納しています。

当初案ではTUMIと同様にストラップはファスナーポケットからの出し入れで考えていましたが、普通に考えれば背面ポケットの開口部はそもそも開いているわけですから、切り開いてフルオープン仕様にした方が良いに決まっています。

なかなか机上の思考沼にハマると抜け出せないものです。実際に作業をして実物を配置してみると答えはすぐに分かるのですが。

briefing
ストラップを出した状態

フルオープンにする事でポケット全体が開くので、TUMIの3wayのようなストラップを折り畳んで押し込むこともなく、そのままササッと出し入れすることができます。

机上の思考沼

briefing

ただフルオープン仕様にした事で一つ問題が。

リュックで使用する際はファスナーは開いている状態になるので、そのままでは開口したポケットがだらっと開いてきてしまいます。この部分が思考シュミレーションの際にファスナーエンドは必ず閉じなければ!という思考停止に陥っていました。

briefing
ポケット固定ボタン

しかし実際に作業を進めてみると、切れ込みを入れた所にとりあえずストラップを置いてみる、垂れ下がるポケット、あっ、これはここで固定すればいいのでは・・・と実物ベースで考えるとなんてことはありません。

もともとセンターにドットボタンが付いていたので、そのデザインに合わせて端にボタンを追加するだけで良かったのです(デザイン的に反対側の端にも追加)

briefing
briefing

ストラップの形状はストレート仕様で。TUMIの3wayモデルではS字とストレートモデルが混在しているようですが、今回のカスタムではストレートを採用。

briefing

S字にすると収納面積が嵩張るのと、作りが複雑になるのでその分費用も高くなってしまいます。私の20年ほど使用していたPORTERのリュックもストレートですが、使い心地に全く問題はなかったですし、その縫製方法や形状を参考にしています。

リュックで使う際にあると嬉しいトップハンドルも追加装備。ちょっとした荷物の出し入れや、手提げの時にこれがあると便利です。

briefing
トップハンドル

ナスカンとDカン金具は艶消しブラックを使用(追加のドットボタンも)

briefing
ナスカンとDカン

ストラップ付け根ですが地味に補強しています。リュックで痛むのは底角とこの付け根部分が多いです。片側のストラップのみで持ったりすると、この付け根の端の縫い目に全ての荷重が集中します。

briefing
付け根の補強ベルト

すると、本体のナイロン生地が縫い目に耐えきれずに裂けてきたり、ストラップ自体が裂けてしまったり、縫製のほつれなどが生じます。

そうならない為にまずストラップのみで本体に縫製、そこへ補強ベルトを重ねて縫製します。それぞれの縫い目の位置もずらしてあるので、どちらかがほつれたとしても、どちらかの縫製で食い止める位置関係になっています。

また左右2本のストラップ付け根を跨いで補強ベルトを縫製しているので、片側のストラップのみで持っても補強ベルト周辺全体で引っ張られるので、縫い目に掛かる荷重の分散効果も期待できます。

素材は1000Dコーデュラナイロン

briefing

ベースに使用しているナイロン素材は耐久性の高い1000Dコーデュラナイロンを用いています。そこへ当店でTUMI持ち手仕様変更などで採用しているナイロンベルトを合わせて縫製しているので、耐久性は高いかと思います。

briefing

既製品ではよくストラップの裏面にメッシュ素材を用いている場合がありますが、しばしば擦り切れるようで補修のお問い合わせがあります(補修は困難)。メッシュ生地が擦り切れるというよりは、縫い割り縫製部分でほつれている印象です。

そのような経験値があるのでメッシュ素材は使用せず、縫製方法も縫い割りでは行わず、コーデュラナイロンでぐるりとスポンジを包み込み、ナイロンベルトと共に縫製し固定してあります。

以上、BRIEFINGの3wayカスタム事例となります。

なお、収納仕様でカスタムできる鞄というのは限られています。外付けで取り付けるのであれば、Dカンを3箇所に取り付ければいいのですが、収納仕様だと鞄の構造によって、大抵はストラップが縫い付けられないとか、収納口が新設できない場合がほとんどになりますので。

  • URLをコピーしました!
目次