スマホ用のポケットが欲しい
荷物が沢山入ったバックからスマホ出し入れするのが面倒なので、取り出し易いように外にスマホ用のポケットが欲しいと。
スマホはスマホケースに小銭入れ?がついているタイプでしたので厚い部分で15mmぐらい。これだけ厚みがあると単純に革を一枚つけて差し込む形状では収まらない。
こんなケース
それに荷物をたくさん入れると本体側も膨らむのでポケットも圧迫されると想定すると、15mmのマチがある立体的なポケットを後付けする必要がありそうです。底面にマチがある形状なので荷物は入るが取り出す時には出口が狭いという感じ。
外付け立体ポケット試作
使用されているスマホケースを預かることはできないので、その場で寸法を計測し、靴のソールに使用する15mm厚のスポンジ板でモックアップを製作。
このモックアップが収まるサイズを確認しながらポケットの寸法を決めていきます。当初予定していた1パーツを折り紙のように折って組み立てる方法だと角の収まりが悪いので、試行錯誤の挙句、3パーツからなる箱形状になりました。
ポケットは不用意にスマホが落下しないように、もう気持ち深めにしたかったのですが、鞄本体のサイズの制約があるのでこの深さが一杯一杯。
試作で寸法は確認できたので本番のポケットを製作。オリジナルで使用されている革がヌメ革のオイルレザー系でしたので、素材は同様の栃木レザー社のプルアップレザーを使用しました。入り口部分は革一枚だと使用によりヨレそうなので裏に革を貼り合わせて補強してあります。
狭い鞄内部をサドルステッチ(手縫い)で縫製するというのは、恐ろしく難しいというか手間というかなので、ミシンで縫製できる組み立て方を考えるのに今回は一番時間がかかりました。
スマホ専用外付けポケット完成
初めに想定した方法よりだいぶ手間がかかる組み立て方法でしたので、完成までに用した時間も想定の2.5倍くらい掛かってしまいました。
頭の中でイメージしていた形状と組み立て方法だと鞄本体に縫製する際に問題があることが試作段階で発覚。
その後、試作を重ね、正面、マチ、縫い代を分けることで本体にうまく収まり縫製できることが分かりました。
すでに出来上がった製品に後付けで何か取り付ける場合は、ミシンが入る入らない、縫製箇所は縫える厚みなのか、位置なのかな、内装にあるパーツが干渉しないかなどなど、色々とクリアーする問題があります。
今回は内装もないシンプルな革一枚仕立てのショルダーバックでしたので、後付けするポケットの組み立て方法だけの問題でしたが、例えばこれに内装が付いていてファスナーポケットがあった場合には、外付けポケットはそのままでは縫製できないので、縫製を解いて内装を一度取り外してなんてことになるので大変ですし費用も自ずと高くなります。
ちょうどこの記事を書いている時に、ご依頼主さんから一日使ってみた感想メールが届きましたのでご紹介。
ご依頼主さんのご感想
スマホを使用する際に脇腹の位置でチャックを開けたり、バッグに手を突っ込んだりといったしんどい作業をする必要がなくなり、立体的なポケットにポンと放り込めるのですごく楽になりました。
自分仕様にカスタムし使い易くなったことでより愛着を持ってどんどん使い込んで頂ければと思います。