選択肢は3通り
ショルダーストラップを伸ばす場合は通常は新規で製作することになりますが、仕様の条件が合えば今回のようにオリジナルを加工して伸ばすこともできます。
今回の伸ばす方法の選択肢はこちら
- 新規でショルダーストラップを製作
- 既存のレザー部分をカスタムして伸ばす
- 2の方法でレザー部分も新しく製作する
❶ 新規で製作する場合
新規で革を使って製作すると費用は高くなってしまいます。ショルダーストラップなので100cm以上の長さの革を使うので・・・。次に、使用する革の色や風合いがオリジナル部分と雰囲気が合うかどうか。
この鞄の場合は本体側のストラップと組み合わさる構造なので、隣り合って見える部分で革の色や風合いの違いが目立ってしまう可能性があります。
片側は美錠で固定し反対側は金具で連結されています。
在庫の革を合わせてみるとブラウンの色が濃いめだったり、仕上げの風合いが異なるので新規で製作すると本体側の革とは多少雰囲気が違ってしまいます。
❷ カスタムしてナイロンベルトと組み合わせる場合
今回のオリジナルの仕様だと鞄本体に直接ストラップが連結されず、美錠や連結金具で繋がっている状態です。これであれば延長部分にナイロンベルトを使用し、尚且つ長さ調整できる仕様でカスタムすることができます。
鞄のデザインもキャンバス生地とレザーのコンビだったので、ナイロンベルトを合わせた場合でも違和感なく仕上がります。またちょうどご依頼主さんも同じような仕様のストラップをお持ちだったので、カスタムのイメージが伝わりやすく今回はこの方法での製作となりました。
伸ばす方法としては両端のレザー部分を再利用し、その間をナイロンベルトで繋ぐ方法です。片側はもともと美錠で固定できるように穴が空いている仕様なのでその部分はそのまま利用します。
ベルト加工
カットするときは間違いがないか、二度、三度確認。
片側の連結金具と繋がっている部分はそのまま残して途中でカット。
それぞれナイロンベルトを挟み込めるように端の縫製を解きます。
もとのレザーストラップは確か25mm幅でしたが、紳士物でナイロンベルトが25mm幅だとちょっと華奢なので38mm幅がよいのではと。ナイロンベルトの規格サイズだと種類にもよりますが、24・38mm・50mmという幅があります。
鞄本体がブラックなのでナイロンベルトはブラックか、またはダークブラウンが合いそうですが、ブラックにすると鞄に使われている配色の割合がブラックに偏ってしまいそうですね、ということでストラップはブラウンカラーに決まりました。
組み立てと完成
この方法だと縫製されているベルトの途中でカットするので境目にはもとのステッチの穴が残ります。今回のストラップだと特に縫い目のピッチが広く、糸も太いので余計に残った穴が少し目立つ感じです。
糸が太かったので往復して縫製し糸を二重にして太さの感じを合わせました。
ショルダーストラップカスタム伸ばし完成
今回のストラップは長さ調整部分や美錠が元々あったのでこの方法ができましたが、本体に直付けのストラップだと長さ調整する美錠側のベルトが追加で必要になるのでこの方法では行えません。
もともとが最長で85cmぐらいの長さを、 110cmを中心に前後10cmぐらいずつ調整できる仕様になっています。
❸ 2の方法でレザー部分も新しく製作する場合
この方法だと結局革の色が変わってしまうので選択肢としてはありますが・・・という感じです。下画像の両端のパーツを新しく革で作成し❷と同じくナイロンベルトと合わせるという方法です。レザーベルトを再利用した場合とは違い、境目に元の縫い穴が残らないというメリットぐらいでしょうか。
製作費用の違い
製作費用が高い順は
- ❶ 新規に製作
- ❸ レザー部分も製作
- ❷ レザー部分は再利用
製作費用は ❷と❶では約三倍違います(今回の場合)ご依頼主さんもやはり❷の費用が魅力的ということで選択されました。すでに既製品の同じようなストラップをお持ちだったので判断しやすかったのもあると思います。
ショルダーストラップは海外製品だと外国人の体格が基準値だったりするので、長かったり短かったりとどっちつかずな場合がしばしばあるようです。
靴の場合でも外国人と日本人では骨の長さの比率が違うので、日本の靴メーカーの方が足に合う確率は高いのか低いのか・・・。そもそも足に合っていないサイズを購入している方も多いので、どうだろうかと思う今日この頃・・・。