ロンシャンの修理専門店ではないのだけれど・・・。角擦れ篇

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四隅の角擦れ補修

ロンシャンのル・プリアージュを使われている方にお聞きすると、「軽くて荷物もたくさん入って使いやすく、ナイロン生地だと雨も心配しなくていいし、それに色やデザインも豊富」ということをよく伺います。

しかしそれと同じくらい角がすぐに擦れるとも。すぐ擦れてしまうのは分かっているのだけれど買ってしまうのです、と。(穴が空いたら捨ててしまっていましたと・・・)

ロンシャンに限らずですが鞄の角が擦れるのは宿命とお考えください。持ち歩いて人とすれ違って擦れたり、壁で擦れたり、地面に置けばアスファルトでゾリゾリ、自転車のカゴに入れればザリザリと擦れるべくして擦れる部分なので覚悟が必要ですが、今回はそんな宿命的な角擦れについての対策のご案内になります。

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角に穴が空いては捨てて新しいのをまた買って・・・。

素材がナイロン生地なので擦れていくのをただただ見守るしかないのですが、擦れる部分をナイロンではなくお手入れすることで持続可能な素材、革で補強をすれば捨てずに使い続けることができますし、四隅に革が付くことでなんだか高級感も醸し出ているような気がしています。

擦れる角を革で補強をすると、革であれば定期的に保湿を行うことで色褪せや擦れに対抗することができます。

軽微な擦れであれば保湿クリームのレザーローションで目立たなくすることができますし、最終的に擦れて色褪せてしまった場合には補色補修をすることで元の状態に近いところまで補修は可能です。

保湿を定期的に行っていただければ革に穴が開くことは無いとは思いますが、仮に穴が空いてしまった場合には再度同じように革で補強することができます。

オリジナルシリーズ

こちらはオリジナルシリーズの補修事例。(以前はナイロンシリーズという名前だったと思いますが変更になったようです)補強で使用するブラウンの革はタンニン鞣しの耐久性の高い革になります。

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鞄本体と縫い合わさり目(縫い割りの位置)を揃えることで後付け感もなく、もともと付いていた感を醸し出してくれます。個人的には角に革が付いていたほうが高級感も出て革とナイロン生地のバランスもいいのでは?とも思います。

補強で使用している革はナチュラルしぼ(革表面の皺)なので皺の表情に若干個体差はあります。ロンシャンで使用されている革はロンシャンオリジナルの型押しで皺柄が均一になっています。

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クラブシリーズ

ネオシリーズやクラブシリーズやシーズン物など、オリジナルに似ている革の色をご用意できているものもありますが、ロンシャンの色バリエは様々でまたその色も微妙なラインを攻めているので、なかなか全く同じものを揃えるというのは難しいモデルが多数あります。

ロンシャン角擦れ
ロンシャン角擦れ

在庫の革で対応できない場合はイタリアの革になりますが、101色あるものから近しい色の革を取り寄せることも可能です(別途追加費用)

ただその際に、画像で依頼品を確認してもほとんどの場合は実物と画像では色が異なるので、ご用意できる革の色が合うかどうかは現物判断となってしまいます。instagramに補修事例のカラーチャートがあるので参考にされてください。

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クラブシリーズの場合は刺繍とコバの色(革の断面)がお揃いの色になっています。補強の際にはオリジナルの色通りにコバを着色し仕上げています。こちらのネイビーのモデルで使用している革は型押しの革になります(色によって革の種類が異なるので革表面の仕上げも異なっています)

型押しといってもその型は様々でロンシャンのような角シボ風のものもあれば、一般的にはナチュラルシュリンク柄が定番かと思います。シュリンクといってもその皺の大小の違いで雰囲気も異なります。このネイビーの皺は中くらいのシュリンク柄かと思います。

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オリジナルの色に合わせて断面を着色

革によっては革表面のシボがないスムースレザーを使用し補修を行っているモデルもあります。クラブシリーズのガンメタのような特殊な色の革は、色を探すだけでも難度が高くこのガンメタの革も、このモデル用にイタリアから船便で取り寄せた革になります。この革は通常の革よりもオイル分が多く、軽い擦れ程度であれば指で撫でていると目立たなくなります。

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ガンメタ

ネオシリーズなど

こちらは当店の分類としてはネオシリーズになりますが、ロンシャン的には恐らくLGPシリーズかと思われます。当店のロンシャン用のinstagramをご覧いただくと分かりますが、シリーズの種類が膨大でインスタには色違いや大きさ違い、シリーズ違いのご依頼があった際にカラーサンプルとしてその都度掲載しています。

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現状でバリエーション違いの事例掲載は100型を超えています(累計の補修数は1.000個前後/2021年時点)こちらの補修で使用している黒い革は、型押しでシボの具合は小サイズぐらいです。

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シボの黒革

このモデルも四隅に革を配したほうがモノグラムの柄と黒革とのバランスが締まる感じでいいと思います。補修というよりは四隅に革を付けた方がデザイン的に好き、ということで依頼される方もしばしばいらっしゃいます。

マイプリアージュ

こちらはマイプリアージュというロンシャンの新しいカスタムオーダーのラインかと思います。

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四隅は黒革に

白い革だと角擦れ部分の汚れが目立つのであえての黒革のご選択となっています(この白い革も単純な白ではなくてチョークというオフホワイト的な色だったのでそもそも丁度いい白い革がなかったということもありますが)

以前は冒頭に掲載のオリジナルシリーズのように、革はブラウンのみでナイロン生地をバイカラーにしたり刺繍やイニシャルを入れられる自由度の高いオーダーシステムだったようです。

現在はナイロン生地のバイカラーはできなくなりましたが、革の色と本体のナイロン生地の組み合わせなどが選べるオーダーシステムに変更になったようです。

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ロンシャン公式HPより

公式HPで実際にカスタムをシュミレーションできるのでいじってみると楽しめます。上の青いモデルはシュミレーションで私が当店オリジナルモデルを作ってみました。文字は3文字しか入らないので店名のampersandから頭文字のAMPを配置してみました。作ったというのは実際にではなく画像のシュミレーションだけですが。

四隅を傷めない為のお手入れ方法

持ち込まれる革製品でよく見受けられるのが、カサカサに乾燥してひどく痛んでからなんとかしようとされる方が多いです。革は一旦痛んでしまうとなかなかそこからの回復は難しく、やや回復かまたは現状維持がいいところです。

なのでいつもお伝えしているのが「革製品は痛んでも痛んでなくても保湿してください」と。

人間であれば新陳代謝で皮膚はある程度回復していきますが、革の場合はこちらから保湿してあげないと、どんどんと乾燥していくだけですので。(なかにはもともとオイル分が多めで乾燥しにくい革もありますが)

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ユニバーサルレザーローションでお手入れ

お手入れは簡単です、靴のお手入れと違って爪も指も汚れません。オススメの保湿クリームはサフィール社のユニバーサルレザーローションです。こちらを取り付けた革のひと隅に米2粒程度塗布し、布で塗り広げます。ひと隅、ひと隅行い四隅が終わった頃には最初に塗布した角のクリームが浸透し、表面がしっとりとしているはずです。

使用する布は着古した不要なTシャツを割いて使ったり、柔らかい綿などであればなんでもいいと思います。ただブラシや革用のフカフカの磨き布などを使って塗布すると、そちらにクリームが奪われ無駄に消費するので、使わなくなったハンカチとか柔らかな薄手の布で良いと思います。

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保湿クリーム

そして浸透ししっとりの表面を綺麗な布や(先ほどの布の別の部分)、ブラシで(100均のブラシで十分)表面を軽くブラッシングしていくと、ほどよく艶が出てきます。なかなか艶が出ない場合はまだ浸透しきっていないので数分待ちましょう(クリームがやや多めかもしれません)。

軽い擦れ程度であればその部分は繰り返し保湿することである程度馴染ませる事ができますし、定期的に保湿のお手入れを行う事で、擦れても痛みにくい状態を維持する事ができます。

皮膚と同じで乾燥した状態で擦れてしまうとそれだけ傷みやすくなります、冬場のカサカサの手や唇のように。

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使用したサフィール社ユニバーサルレザーローションは、当店店頭でもAMAZON価格で販売していますし、小売されていないお試し品の50mlサイズのミニボトルも販売していますので、ご入用の方は四隅補修の際にでも申しつけ頂ければと思います。

この保湿クリームはもちろんロンシャン以外でも靴やお財布、ソファーや衣類などの皮革製品に使用できる優秀な保湿クリームです(起毛革など使用できない素材もありますので詳しくは製品に記載の説明欄をご使用前にお読みください)

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