ダイナイトソールの補修のタイミングとつま先の治し方

ダイナイトソール
補修前
目次

つま先の補修のタイミングは?

ダイナイトソール

ウェルトまで摩耗し始めているので若干遅いですがつま先補修のタイミングです。ウェルテッド製法の場合はウェルトを摩耗させてしまうとオールソールの時に余計な出費となりますのでご注意ください。

ダイナイトソール

ダイナイトソールといえばこの特徴的な凹凸。ゴルフシューズのピンのようなデザインですが、この凹凸パターンにより雨の日用にと選択される方もいらっしゃいます。またメーカーでもそのような位置付けの靴に採用されていることが多く、結果的にダイナイトソール=雨の日用 という認識になっているのかもしれません。

雨の日用というかラバーソールであれば店主のオススメは別にあったりするのですが、毎回記事が長文になってしまう傾向があるのでそれはまた別の機会にしておきます。

ダイナイトソール
新品時の凸部分

ご依頼品のソールの状態は地面に接する範囲の底縫いは完全に擦り切れ、糸の断面が点々と見えている状態です。このように底縫いの糸が完全に擦り切れてしまうと、つまづいたりした衝撃でウェルトとソールがパカッと剥がれてしまう可能性があります。

ただラバーソールの場合は革底よりは糸が抜け難いのと、革底のように雨が革の繊維に浸透し接着面をふやかせるということもないのでとりあえずは大丈夫かと思います。

ダイナイトソール

しかしつま先はだいぶ薄くなっているので糸の引っかかりも弱く、この状態のまま補修するにはちょっと心配です。この面に補修材を貼り付けても、追々に土台のソールが剥がれてきてしまうと補修が無駄になってしまいます。なのでこのような状態からつま先を補修するには、残されたラバーソールをもう一度ウェルトに縫い付けてあげてから補修した方が安心です。

部分的に底縫い

ダイナイトソール

底縫いした後はつま先部分に補修材を貼り合わせるのですが、現状の状態だとつま先にかけて山なりに削れています。その状態で硬い補修材を山なりに沿わせて貼り合わせてしまうと、補修材が平らに戻ろうとする反発力で剥がれてきてしまいます。

なので貼り合わせる素材の楔形状に合わせて山なり部分を平らに削り、補修材が無理なくピタッと嵌るようにまずは加工します。

ダイナイトソール

境目の段差は薄く、摩耗しているつま先は深くなっています。

ダイナイトソール

補修材を嵌め込む形状加工を行ったら部分的に底縫いを行います。今回は加工後のラバーに厚みがそれなりに残っていたのでこのまま底縫いを行いますが、残りの厚みが薄い場合はその状態で底縫いをすると糸が食い込んでラバーを割いてしまうので、ラバーで厚みを足してからでないと底縫いができません。

ダイナイトソール

元の糸は擦り切れていますがラバーだと抜け難いのでそのままの状態で底縫いを行います。同じ穴に縫製していきますが、穴に負担をかけないように糸は少し細めを使います。糸はポリエステルを樹脂コーティングしているので細くても強度は問題ありません。

つま先補修完成、ちょっと厚めに。

底縫いが終わったら傾斜板という楔形状の強化ラバーを接着で嵌め込んで外周を削ったら完成です。

ダイナイトソール
ダイナイトソール

底縫いの糸が全体的に擦り切れてはいますがソールの厚み自体はまだ十分残っています。摩耗している靴底中央の凸凹を見ると凹の溝はまだ確認できる状態なので、土台の厚み3.0から4.0mmぐらいはまだ残っていると思います。

ダイナイトソール
まだまだソールの厚みは十分残っています

なので靴底中央部分がペラペラになるぐらいまでは補修したつま先を保たせたいので、気持ち厚めに補修しておきます。

ダイナイトソール
気持ち厚めに補修

ダイナイトソールは凸が出ているので、土台の平らな部分は一般的なラバーソールより若干薄めに設定されています。なので余計にウェルトまで摩耗してしまうタイミング早まるのかもしれません。

今回補修したつま先が薄くなる頃には靴底中央がペコペコに薄くなっているのではないかと思います。その時がオールソールのタイミングになります。凹凸などの柄のないラバーソールであればハーフソールで補強なんていう事も選択肢としてありますが、ダイナイトソールの場合は凹凸があるのでハーフソールの取り付けは不可となっています。

ダイナイトソール補修の選択肢

  • つま先の部分補修
  • オールソール
  • ハーフソールは取り付け不可
  • リフト交換は同じダイナイトリフトで交換可能

ちなみにつま先が摩耗したレザーソールにビンテージスチールを取り付ける場合は、底縫いが切れていてもビンテージスチールを固定するネジで土台の革底ごと固定できるので追加の底縫いは基本的には必要ありません。*ラバーソールにビンテージスチールの取り付けはできません。

以上、ダイナイトソールの補修のタイミングと治し方でした。

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