カンペール修繕事例・PEU

目次

PEU・製法による分類

カンペールのPEUシリーズは底付けの製法の違いから三種類に分類されます。本体は同じデザインでもソールの形状によりソール交換費用が異なります。カンペールのPEUモデル以外でも同じ製法・形状のソールが取り付けられているモデルがありますが同様の補修が可能です。

底付けの製法による分類

  • 側面に縫い目の特殊モデル
  • 周囲に縫い目のステッチダウン製法
  • 底面に縫い目がマッケイ製法

3つの製法のそれぞれの修繕事例で使用されているソールは、基本的にいずれの製法のソール交換でも使用可能ですので、ソール交換をご検討の際には合わせてご覧いただければと思います。

該当モデルをクリック

PEU
特殊モデルの補修方法

このモデルは本体がソールに埋まっているので、通常のソール交換の前にその埋まっている部分の補修を行う必要があります。その為、非常に手間が掛かりソール交換費用は他のモデルに比べかなり高額になります。

PEU
PEU

本体の側面までソールで覆われているので一見ソールの厚みがあるように見えますが、実施は4.5mm厚程度とその見た目とは違い若干薄めのソールが取り付けられています。このソールもカンペール特有の劣化が生じやすい素材でできているので、縫い目部分や屈曲部分で割れてしまいます。

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

ソールで隠れている部分は深い箇所で10mm程度埋まっています。ソールを剥がすとその部分はソールが接着しやすいように表面がガサガサに加工されています。

また側面のソールとの境目で本体の革が裂けたり傷んでいる場合もあるので、そのような部分の補修も合わせて埋まっていた部分に革を巻き縫製して補強を施していきます。側面に巻く革の色は本体と同色にしたり、ソールの色合いに合わせてみたりと自分仕様にカスタマイズが可能です。

補修方法の注意点

当店では行なっていませんが、薄いクレープソールを使用しオリジナルのように本体を埋め込んで側面で縫製する方法もあります。見た目の雰囲気はオリジナルに近い感じで仕上がりますが、クレープソールも劣化しやすい素材となっており、特に薄いクレープソールは側面の縫い目部分で裂けてきやすいので当店ではそのような仕様でのソール交換は行なっていません。

カンペールPEU
カンペールPEU

オリジナルは薄いソールを本体に直接縫い付けているので、摩耗した際には補修が困難な仕様になっています。ソール交換の場合は当店の基本的な考えとして「部分的に補修しながら長く履き続けることができる仕様でなるべく交換する」というスタンスですので、ソール交換後でも摩耗した箇所が部分的に補修できるよう二層構造にて行なっています。

一層目のベースにはレザーのミッドソールを取り付け本体と縫製します。そのベースにスポンジソールやラバーソールなどご希望のソールを取り付ける仕様になります。ですのでソール交換後は踵や爪先など摩耗しやすい部分は、その都度部分的に補修が可能です。

最終的に二層目のソール全体が摩耗した際には、一層目のレザーソールが摩耗しておらず、底縫いの糸も擦り切れていなければ、二層目のソールのみのソール交換が可能となり、その際のソール交換費用は6.000円程度(仕様により若干異なります)で交換可能です。

二層構造になるのでオリジナルのような薄いソールが直接取り付けられている状態よりは履き始め若干硬さがあると思います。ご希望であればオリジナルのように直接ソールを取り付ける仕様でも交換可能です。

当店のソール交換のポイント

・2層構造なので部分補修が可能
・劣化が起こり難い素材を選択
・次回ソール交換する際は費用が抑えられる

特殊モデル・費用と修繕事例

特殊モデルの注意点

カンペールのソール交換費用は通常13.000円前後ですが、特殊モデルの場合はソール交換以外に本体の加工が必要となるので費用が割高になっています。

ソール交換費用23.000円
お預かり期間〜1.5ヶ月間

自分仕様にカスタムするポイント

・巻革の色
・ミッドソールの色
・ラバーソールの色

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

PEUモデルはゴム紐が赤や青などカラーなので、その色に合わせて一層目のレザーも赤く染め、二層目のvibram#8365のスポンジソールも本来は朱色ですが側面は赤に染めて仕上げています。スポンジソールは軽量でクッション性は優れていますが耐摩耗性能はラバー比べ劣ってしまいます。

ですので摩耗しやすい爪先や踵部分にはラバーを埋め込み耐久性を向上させてあります。それぞれ摩耗した際には部分的に交換可能です。側面の巻革の色は本体に合わせダークブラウンでまとめてあります。*vibram#8365は朱色(赤色)のみとなります。

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

このPEUは本体の色に合わせて巻革はブラックに。一層目はご希望によりミッドソールをブルーに染めてアクセントにしています(カラーのゴム紐に色を合わせる事も可能です)。婦人靴でしたのでソールはラバーとスポンジを混合したような素材感の軽量ラバーソール仕様となっています。軽量ラバーソールはブラック・ダークブラウン・サンドベージュ・ホワイトから選択できます。

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

本体の色に合わせて、巻革・ミッドソール・ソールはオールブラック仕様に。ソールは表面に細かなギザギザが特徴のvibram#342ラバーソール。ギザギザがあるので同じ厚みのラバーソールより軽量で屈曲性も優れています。摩耗しやすい爪先や踵部分は無垢になっているので耐久性と屈曲性を兼ね備えたバランスの良いソールです。カラーはブラックとホワイトから選択できます。ブラックカラーのラバーソールはそのほかにも取り扱いがありますので、ご依頼の際にご相談させていただければと思います。

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

本体に合わせて巻革はブラウンカラー。ソールは一層目のレザーミッドソールに合わせて二層目のラバーソルもキャメルカラーを選択。本体がブラウン系で暗い場合にソールをキャメル系で明るくすることでカジュアルな印象になります。こちらのラバーソールはキャメル・ブラック・ダークブラウンから選択できます。

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

巻革はオリジナルのソールがキャラメルのような色だったので、それに合わせて巻革もキャメルにし、ソールもキャメル系で揃えることでオリジナルの色のバランスに近づけた印象の仕様になります。このラバーソールは柄がワニ革のようなのでクロコソールと呼ばれ、その凹凸がグリップ効果を発揮します。特殊な配合によりラバー素材の粘性とスポンジ素材の軽量性を兼ね備えています。こちらのソールはキャメルカラーのみとなります。

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

巻革は本体に合わせてブラウンに。一層目のレザーソールをブラウンに染色し、ラバーソールもブラウンカラーにすることでゴム紐のパープルとの二色にまとめ、色数を絞ることでシックな印象に。オリジナルのソールが付いていた頃に比べると、レザーミッドソールの艶感もあり大人な印象に仕上がっていると思います。ソールは軽量ラバーソールのダークブラウンを使用しています。

PEU特殊モデル・カラーサンプル

巻革・ミッドソール・ソールとそれぞれのパーツをお好みでカスタムできます。

カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU
カンペールPEU

PEU
ステッチダウン製法の補修方法

このモデルは靴の周囲に底縫いの縫い目があります。その縫い目と中底と底面のラバーソールが貫通して縫製されています。かかと部分が擦り減り中底や本体の革まで摩耗してしまう前に、ソール交換されることを推奨しています。

ソール交換の際にはもともとついている中底の素材が脆い為、ラバーミッドソールを一層追加し底縫いを行い土台部分を補強しています。その際にミッドソールのカラーを靴紐や底縫いの色に合わせて赤色(朱色)にしたりとカスタムすることも可能です。ミッドソールのカラーはブラック・ダークブラウン・ホワイト・レッドから選択可能です。底縫いの糸も染色するので色を合わせることは可能です。

カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン

このソールはカンペールの他のソールに比べるとラバー系の素材配合のようなので、他のソールに比べるとそこまで素材の劣化による割れは少ないように思われます。ただ劣化による割れではなく構造的なのか屈曲部分の割れは比較的生じやすいようです(何れにしても割れてしまうことには変わりないのですが)

カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン

オリジナルはラバーソールごと本体とまとめて底縫いしてしまっている為、かかとや爪先が擦り減ると底縫いの糸も切れてしまいます。ステッチダウン製法の場合は、底縫いで本体とソールをまとめて固定しているので切れてしまうと本体が分解してしまう場合があります。

ですのでソール交換の際にはミッドソールの補強を兼ねてミッドソールを一層追加し、その段階で本体と底縫いを行います。その土台に新しいソールを取り付ける仕様になっていますので、底縫いの縫い目はソール内部に隠れるようになります。

この仕様ですと底面に糸が露出していないので、踵や爪先など摩耗しやすい部分は補修の際にも底縫いの糸を切らずにその都度、部分的に補修が可能となります。

最終的にソール全面が摩耗してきた際には、底縫いの層まで摩耗していなければ、取り付けた表面のソールのみのを剥がし全面交換が可能で、その場合のソール交換費用も安く抑えられます。

カンペールのPEUモデル以外でもステッチダウン製法で同じ形状のソールが取り付けられているモデルがありますが同様の補修が可能です。

当店のソール交換のポイント

・ミッドソールを追加し底面の補強
・摩耗した際に部分補修が可能
・底縫いの糸の色が選べる

ステッチダウン製法・費用と修繕事例

ソール交換費用14.000円〜
お預かり期間〜1.5ヶ月間

ソールの色はブラック・ダークブラウン・キャメル系・レッド(朱色)・ホワイトなどから選択可能です。底縫いの糸の色は染色するのでご希望の色をお選びいただけます。ソールのカラーや素材はPEU特殊モデルの補修事例も参考にされてください。

カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン
カンペール ステッチダウン

PEU
マッケイ製法の補修方法

このモデルの見分け方は靴の底面に底縫いの縫い目があります(形状は同じでも縫い目が無いモデルもあります)。マッケイ製法はソールと本体を内部で貫通して縫製しています。(接着のみのモデルもあるようです)このモデルで使用されているソールは劣化しやすいようで、ソールが摩耗していなくても割れてしまっている場合が多いです。

ソール交換の際にはミッドソールを追加しその状態で本体と底縫いを行います。その土台に新しいソールを取り付け、底縫いの糸がソールの内部に隠れるようにします。底縫いの糸が隠れるので爪先や踵などが摩耗した際には底縫いの糸を切らずに部分補修が可能です。ソール交換の際に新たに靴の周囲にできる縁の色やミッドソール、ソールの色はお選び頂けます。

本体のかかと部分が一部ソールに埋まっているので、ソール交換の際にはその部分は本体の革の色に合わせた革で覆います。カンペールのPEUモデル以外でも同じ形状のソールが取り付けられているモデルがありますが同様の補修が可能です。

カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ

マッケイ製法・費用と修繕事例

ソール交換費用12.500円〜
お預かり期間〜1.5ヶ月間

ソールの色はブラック・ダークブラウン・キャメル系・レッド(朱色)・ホワイトなどから選択可能です。底縫いの糸の色も染色するのでご希望の色をお選びいただけます。ソールのカラーや素材はPEU特殊モデルの補修事例も参考にされてください。

カンペール PEUマッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
カンペール マッケイ
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