ソールに埋まっている足
Beetleというシリーズのソールは、ソールというよりは本体の一部になっています。というのはソールの中にも足が沈んでいるからです。沈んでいるというか埋まっているというか。
なのでソールを剥がし別のソールに交換してしまうとサイズが大幅に変わってしまい履けない状態になってしまうと思います。思いますというのは剥がしたことがないから分からない、ということなのですが。
中から触って中底の位置を確認してみるとピンクの点線ラインあたりになっています。しかし本体とソールとの境目は水色の位置で貼り合わされています。
なのでこの状況から推測して、剥がしたところで元のサイズ感に戻せないということが分かっているので剥がさないという事なのですが。
見た目と違う内部構造
ピンク点線・・実際の中底の位置
水色矢印・・・本体とソールの境目
このソールを剥がした場合、元と同じサイズ感にするにはオリジナルと全く同じ足型の凹みがあるソールを取り付ける必要がありますが、そんなソールはメーカーにしか存在しません。仮に通常のvibramソールなどで交換した場合、交換後のイメージとしては卵のパックの下側が平らになった感じです。
卵のパックの片側が平らになってしまえば卵が入らないように、このソールも足が入らなくなってしまいます(サイズが変わる)。なのでこのBeetleではソール交換をすることができません。
仮に全く同じソールがあったとしてもこの靴の構造として、ソールと本体が靴の周囲の縁だけで接着されているみたいなので、そんな仕様では剥がれの可能性があるので受付はしないだろうと思いますが。
ソール交換不可の理由
・オリジナルと同じソールでないとサイズが変わってしまう
・縁だけで接着している無理な構造なのでソール交換は不可
曖昧なソールの境目
以上の理由でソールを交換することができないので、このモデルの場合は現状のソールの表面に新たにソールを追加して補強する方法になっています。
画像のように摩耗した状態でもその状態に新しいソールを取り付けることになるので、補強を行うのであればなるべく摩耗していない新しい状態で行ったほうがよろしいかと思います。
Beetleのソールは底面と側面というように形状が分かれていません。エッジがなく丸みを帯びた形状になっています。どこまでの範囲にソールを取り付けるかですが、底面にある凸柄の範囲を底面という設定にしています。
ただすでに摩耗して境目が曖昧なつま先や踵部分は、その状態により他の部分と形状が繋がるように辻褄を合わせます。
Bettleのソール補強完成
底面の範囲となるラインを型取りし、同じ形状のソールを削り出し貼り合わせます。オリジナルのソールはスポンジソールなのでサクサクと摩耗しやすい素材ですが、新たに取り付けるソールはラバーとスポンジを混合したような素材になるのでオリジナルより摩耗し難くなります。
混合ではない完全なラバー素材を使ったほうが摩耗し難くはなるのですが少し重くなります。オリジナルはかなり軽量にできているのでその軽さと屈曲の良さを損なわないようなソールだと、今回使用した軽量ラバーソールがこの靴には適しているかと思います。
取り付けたソールは少し内側になるのでそんなに気にならないかと思いますがどうでしょうか。それとお気づきかもしれませんが、だいぶ色褪せていたアッパー(本体の革)が綺麗になっていると思います。これはソールの補強と合わせて全体の補色補修も行っています。
補色補修を行うとこの程度には綺麗に戻せるので、今後は定期的に保湿と乳化性の靴クリームでお手入れする事で現状維持して履いていくことができます。
補強のタイミングについて
Beetleは外観からだとソールのボリュームがあるように見えますが、実際は足が埋まっている深さ分があるので見た目より実質のソールの厚みは薄いです(カンペールにありがち)。
側面から厚みが残って見えていても中央は薄くなりぺこぺこな状態で持ち込まれることが多いので、指でソール中央を押してぺこぺこしていないか確認してみてください。
中央部分が薄くなりすぎると補強のソールを取り付けられない(適さない)場合もあるので、なるべくお早めにご検討いただければと思います。軽量ラバーソールの色は主にブラック、ダークブラウン、ベージュ系、ホワイトなどがあります。
この記事を書くにあたりカンペールのHPを見てみたのですが、やばいですね。以前にも増してソール交換ができないであろうモデルのオンパレードになっていました。
それに昔のカンペールが好きな方は今のデザインはちょっと違うんだろうな、と思う今日この頃・・・。